電子書籍をめぐる日本の現状と問題点について

電子書籍先進国のはずが

電子書籍に関しては、日本は黎明期から展開が進んでいたとのこと。ebookjapanは2000年頃にスタートしていますし、2006年にアメリカで発売されて人気となったSony Readerも、もとはといえば日本国内向けに2004年に発売されたLIBRIe(リブリエ) がベースとなっているようです。

KindleやiPadの2大勢力

ところが、2014年現在では、ebookjapanや楽天のkoboな成長しているサービスはあるものの、大勢で見ればAmazonのKindleやAppleのiPadの2大勢力となっています。Sony Readerは、2014年8月に電子書籍リーダー市場から撤退すると発表されています。

著作権問題

なぜこうなったかというと、メーカーの技術力云々ではなく、一つには著作権問題がありそうです。アメリカの場合、出版社と作家の契約が明確になっているので、紙の本を電子書籍にするにあたっては電子書籍ストアは出版社の許諾を取るだけでよいとのことですが、日本では、出版社と作家の契約が曖昧な口約束になっているので、電子書籍化には出版社と作家の双方に許諾を取る必要があるとのこと。

アメリカで普及した理由

AmazonのKindleやAppleのiPad、北米のソニーリーダーが対応コンテンツを大量にかつ迅速にそろえられたのは、そのためのようです。日本では、コンテンツを迅速かつ大量に揃えることができなかったので、電子書籍の世界でアメリカに後れを取ったといえそうです。この著作権の問題は本以外の映像や音楽コンテンツでも発生しているとのことです。

販売制度の問題点

委託販売制度

もう一つは、販売制度の問題点も指摘されています。日本では出版社から取次と呼ばれる卸売業者を介して、書店に本が並んでいます。これにより、「委託販売制度」が採用されています。

再販制度

「委託販売制度」は、売れ残った本を出版社に返品できるという書店保護のための制度です。これにより書店は在庫リスクにさらされずにすみます。もう一つが再販制度(再販売価格維持制度の略)と呼ばれるもので、一言で言えば本やCD,雑誌などのコンテンツは定価販売を義務付け、値引きを禁止するというものです。これにより、書店は値引き合戦という過当競争から保護されています。

商慣行

ただ、電子書籍に関しては、再販制度の対象ではないため、値下げは可能ですが、書店側の事情としては出版社との信頼関係もあり、思い切った値付けが出来ないということです。また出版社にとっても、オフラインコンテンツの様々な業界とのつながりがあるため、値引きには簡単に応じられない、という事情もあるかもしれません。

再販制度のメリット

こうした商慣行は、もちろん大きなメリットがあるため維持されています。書籍の品質や多様性、地域情報格差の解消を保つには、必要な制度ともいえます。しかし、一方で、電子書籍化がアメリカに後れを取っている遠因ともなっているといわれます。

アマゾンの場合

アメリカには再販制度がないのでアマゾンは本を安く仕入れることができるといいます。もっとも、アメリカでもベストセラーの新書は安く仕入れることができませんが、ロングテール戦略で赤字を埋め合わせているとのこと。

出版社も前向きだが

日本の出版社は、気持ち的には電子書籍の推進に決して後ろ向きではないようです。それでも進まないのは、上記の事情に加えて、経営的なリソースが不足している、というのが大きな原因のようです。

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日本における電子書籍の現状や問題点などのまとめています。
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